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春の彼岸法要

昨年の彼岸法要は新型コロナで中止になりました。その時の法要中止の案内状に添付したものです。今年も同じ内容でお話しする予定です。


    彼岸法要でお話ししたかったこと


「人はなぜ悩むのか?」 仏教は自分の苦悩は自分が創(つく)り出していると教えています。こう言われると、どのように感じられるでしょうか。そんなバカなと思うのが自然な反応でしょう。確かに自分を苦しめるような「縁」が、この世には無数にありますが、仏教では、それは単に「縁」であって苦悩の一番の原因は自分の心にあると教えています。常識で考えればとても信じ難いことですが、それに目覚めることが究極の幸福(さとり)でした。

 昔、仏弟子たちは究極の幸福(さとり)を求めて、家族や財産を捨てて厳しい修行にはげみましたが、誰もが幸福(さとり)を得られた訳ではありませんでした。しかもお釈迦様も亡くなってもう会うことができません。幸福(さとり)の完成を認め共に喜んでくれる仏様がいなくなったのです。仏弟子達は長い時間をかけて、お釈迦様の言われていた「法を見る者は仏を見る」という言葉を頼りに、お釈迦様を生みだした「法(道理)」そのものを、亡くなることのない永遠の仏様として見いだしたのが阿弥陀如来(仏)でした。阿弥陀仏は、お釈迦様のようにこの世に人として実在した仏様ではありませんが、仏弟子達は仏様を仏様たらしめる「法(道理)」をもまた仏と呼んだのでした。

 法然上人や親鸞聖人は、阿弥陀仏の名を称(とな)えよという教えに生きられた方々です。仏の御名(みな)「南無阿弥陀仏」を称える中に、阿弥陀仏に救われていく道、幸福(さとり)への道を見いだされたのです。そして、いつでも自己中心の生き方しかできない私という現実に目覚めさせてくれるのが、念仏を称える声を「聞く」ということでした。

 念仏に限らずとも「聞く」ということは、人が変わる可能性を与える唯一の出来事ではないでしょうか。以前あるお婆さんが「嫁さんが冷たい」といつも愚痴をこぼしていました。嫁さんはお婆さんの部屋に一歩も入らないほどの冷たい関係だったのです。お婆さんはある方と仲良くなり毎日のようにその方の家を訪ねていました。そこでも同じ愚痴をこぼしていたのですが、その方からは常に「あんたが悪い」としか言われなかったそうです。一年近くたった頃でしょうか、その嫁さんがいつものように、お婆さんの部屋の入口の所にまでしかお茶を持ってきてくれなかったのですが、お婆さんが「有り難う」と言ったのです。そしてその一年後には、嫁さんはお婆さんの横に座ってお茶を出して下さるようになったのでした。本当にめでたい出来事でした。

 しかし「あんたが悪い」という声が聞こえてきてから初めてお婆さんが変わるのには一年近くかかりました。このお婆さんはその方を心から慕い信頼していたからこそ、その声が聞こえてきたのでしょう。自分の不幸を創(つく)り出しているのが他人だと思っていたら当然、そこには有り難うという声も出ず、感謝のないところには幸福もないのでしょう。教えを聞きなさいと昔からずっと言われ続けてきましたが、なかなか腰が上がらないのは無理もありません。自分が変わることは一番恐ろしいことなのでしょう。だから、このお婆さんも随分時間がかかったのでしたが、自分が変わって一番和らいだ顔になったのもこのお婆さんでした。                                藤ノ原惠行

 
 
 

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